今回の依頼は銀ちゃんさんの「雑賀崎に『トンガの鼻』という地名がありますが、なぜこう呼ぶのでしょうか?」です。

 トンガの鼻とは雑賀崎にある岬の名前です。先端には江戸時代末期、外国船の襲来に備えて紀州藩が築いた雑賀崎台場跡(和歌山県史跡)があります。

 この岬と周辺の自然環境保護活動を2002年から行う「トンガの鼻自然クラブ」の事務局、松川由喜子さんに聞くと、「確かに台場跡の見学会などを開くと、参加者からよく質問されますね」とのこと。さて、由来は…。

 


 

地元で鍬を指す道具名からか?

 「雑賀崎に『トンガの鼻』という地名がありますが、なぜこう呼ぶのでしょうか?」。トンガの鼻自然クラブ事務局の松川由喜子さんによると、「文献などにはっきり書かれている訳ではないですが、雑賀崎では畑を耕す際に使う鍬(くわ)のことをトンガと呼びます。そこから付けられたのではないでしょうか」。

 今は木が生い茂るトンガの鼻ですが、松川さんが小学生だった昭和30年代は畑が広がっていたそう。松川さん宅が所有する畑もあり、「畑に行く際は『トンガへ行ってくる』と言って出掛けましたね。岬を離れた場所から見ると、先に行くにつれ少しずつ低くなり、先端だけが少し高くなっている。鍬を横から見た形に岬が似ているようにも思います」。

 由来には地元でも諸説あり、タケノコを掘る際に使う「とん鍬」が「トンガ」に変化したと見る人も。なお、「鼻」は突き出た岬のことです。

 ちなみに、クラブ発足当初、南太平洋の島国トンガに住む日本人から、メールが届いたとのこと。もちろん、そのトンガとトンガの鼻は何の関係もありません。

写真=雑賀崎では鍬をトンガと呼んでいるそう

(ニュース和歌山/2019年7月6日更新)