怖さ:4
山の妖怪
出没地域:田辺市

 田辺市中辺路町兵生の安堵山(あんどさん)にはオメキと呼ばれる一本足の大入道がいる。「喚(おめ)く」は大声を出すことで、大きな声で話す妖怪との意味である。明治の初め、安堵山付近で大筒(おおづつ)と呼ばれる大蛇に、ある男が飲み込まれた。以来、その弟で猟師をしていた甚八(じんぱち)は敵討ちのため、3年もその場に通った。ある時、オメキが現れた。突然のことで逃げられず、甚八は観念してオメキと喚きあいすることに。大声で口論するうち、甚八はここぞとばかりに持っていた鉄砲をオメキの耳元で鳴らした。オメキは「お前の声は大きいなあ」と感心して消え失せたという。

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(ニュース和歌山/2020年9月5日更新)