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 桃の季節到来! 産地で知られる紀の川市桃山町に今年4月、籔本畑下農園がイタリアンジェラート店「藤桃庵」(とうとうあん)を開きました。店内には、農園で採れた無肥料・減農薬栽培の桃をはじめ、地元和歌山の果物や牛乳にこだわったジェラートが並びます。店を切り盛りする籔本周也さん(34)、梓さん(37)夫妻に話を聞きました。(文中敬称略)

素材を100%生かす

──「桃とレモン」「ドリームマンゴー」「はっさくソルベ」…。どれにしようか悩まされるジェラートばかりです。

 現在、レシピは約20。このうち、旬のものを中心に、日替わりで6種類のジェラートを提供しています。

周也 使う桃、デコポン、ハッサク、キウイは自分の農園で育てたもの。いちご、マンゴーなどは地元紀の川市産、牛乳はかつらぎ町にある木村牧場のものと、地元の材料にこだわっています。

──お店のフェイスブック(インターネットの交流サイト)には、ほおばって満面の笑みを見せるお客さんの写真が毎日、たくさん載っています。

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 開店2ヵ月ですが、すでにリピーターさんも。サイクリングの途中で寄ってくれる方も多いですね。以前、子どもさんに旬の果物だけを食べさせているという女性が「素材を大切にしているのが分かった。子どもたちも何か感じ取ったようです」との主旨のコメントをフェイスブックに書いてくれました。素材を100%生かした商品にこだわっているので、自信になりました。

──開店のいきさつは。

周也 うちの農園では2007年に無肥料、減農薬での桃栽培を始めました。すると、傷んで出荷できない桃が増えた。これをどうにかしたいと、以前は外部に委託しジェラートを作ってもらっていました。お願いしていた人が高齢になり、「自分たちでやってみては」と後押ししてくれたので開店を決意しました。研究のため、東京を中心に、人気のジェラート店は10軒以上回りましたね。

地元盛り上げたい

──自慢の商品の中で、桃以外にお気に入りは。

 私はキバナ。キウイの酸味とバナナの甘味を生かした一品です。

周也 僕はグレインミルク。玄米のジェラートで、おもちみたいな和風な感じ。桃より好きかも(笑)。

 開店から2ヵ月は昨年収穫し、冷凍保存していた桃を使っていましたが、収穫が始まるこれからお盆前までの1ヵ月余りは生の桃を使えます。フレッシュさ、特に香りは格別だと思います。

──こちらの店で旬の味の魅力を再発見した方は多いと思います。

周也 桃山町もそうですが、農家は高齢化が進み、跡継ぎがいないところが少なくない。和歌山の素材を使ったジェラートを通じ、地元を盛り上げられればうれしいですね。

データ
藤桃庵…紀の川市桃山町元901。午前11時(持ち帰りのみなら10時)〜午後5時。水曜休み。0736・66・8475。

(ニュース和歌山2014年6月25日号掲載)