自然の景色や街並み、文化遺産や昔ながらの祭りなど未来に残し、伝えていきたい故郷の景色をまとめた「残したい和歌山の風景・50」。昨年1年間好評いただいた連載に、今回は〝プラス〟として読者の方々が撮影した4枚を紹介します。

早朝の奥の院

 開創1200年を迎えた高野山の奥の院。早朝、弘法大師が入定されている御廟(ごびょう)へ何十人もの僧侶が列をなして向かっていました。この光景を撮るため、前日は宿坊に泊まり、朝の暗いうちからカメラを抱え、2時間ほど待ちました。参道の遠くの方から順に灯ろうの明かりがつき始め、小雪が舞う中、白い袈裟(けさ)に赤いかさをさした僧侶の列がゆっくりと近づいてきました。前を通り過ぎた時は、凜(りん)とした空気が張り詰めていました。 (撮影・文章=和歌山市 藤吉修忠さん)

直川観音大福山本恵寺

 和歌山市直川の美しい森の中にあり「直川の観音さん」の愛称で親しまれている大福山本恵寺です。開基は役行者によるという古刹(こさつ)で、桓武天皇の勅願所と言われています。山門にはとても立派な金剛力士像が安置されていますが、近隣の人たちにはなじみがあっても、他の地域の人たちにはあまり知られていないのではないかと思います。和歌山市内を一望できる境内からの眺望も絶景ですので、皆さんも霊験あらたかな「直川の観音さん」にぜひ参拝なさってはいかがでしょうか。(撮影・文章=和歌山市 中川祐一さん)

広川のシロウオ漁

 湯浅町と広川町の間を流れる広川の河口付近に、春先の2月下旬から3月下旬にかけて年に1度、シロウオが産卵のために来るそうです。四つ手網と言われる四角い網を川の底に沈め、体長3〜5㌢のシロウオをすくい獲っています。江戸時代から続く伝統的な漁法で、この地方の春を継げる風物詩になっています。継承する漁師さんは、今では4、5人しかいないようです。(撮影・文章=和歌山市 笠松康作さん) 

美しい和歌山城

 和歌山市の消防隊員130名が約5時間、身体にロープを装着し、和歌山城の石垣などに繁茂している草や落ち葉を取り除く作業をしていました。出初式でお世話になっているお返しと、若い隊員の訓練として年2回行っているそうです。シーズンともなるとお城には多くの観光客が、最近では外国人もよく訪れます。私達も少しでも美化を心掛け、美しい和歌山城を見ていただき、後世へ残していきたいものです。(撮影・文章=和歌山市 南村和男さん)

(ニュース和歌山2015年2月11日号掲載)