お茶どころ、静岡県袋井市を知ってもらおうと、和歌山大学観光学部の鈴木脩蔵さん(21)がPRに奮闘しています。進学後に暮らし始めた和歌山で故郷の魅力を伝えるため、イベントに出店し、特産品の緑茶をアピールするほか、名産のメロンを販売。「スッキリとした苦味のない袋井の緑茶で、和歌山の人に印象づけたい」と力を込めます。

 

強い郷土愛

──なぜ和大に?

 「元々旅行が好きで、観光学を勉強しようと進学しました。和歌山に来て感じたのは、気候や街の様子が袋井と似ていて、初めは不安だったのがウソみたいに、今は楽しく暮らしています」

──故郷の静岡県袋井市はどんな所ですか?

 「東海道五十三次の27番目、ちょうど真ん中にあたる町です。いちごやみかん、柿など、果物の栽培が盛んなところが和歌山に似ていますね」

──生まれた町のアピールを始めたきっかけは?

 「eスポーツチームのオーナーをしている小中学校時代の故郷の友人が袋井をPRしたり、和大の先輩がイベントに出店して学外の人たちとつながりを持ったり。それぞれ活動するのを見て、『自分のできることはなんだろう?』と考え、まずは特産品の緑茶で袋井をPRすることにしました」

──どんな活動を?

 「昨年末、静岡の茶葉を買い、和歌山市新通のゲストハウスRICOでお茶を入れて売りました。その後、何度かイベントに出店していると、静岡の友人が袋井で茶葉を販売する企業や、特産のクラウンメロンを管理する組合に僕の活動を紹介してくれて、安く仕入れることができています。メロンはイベントのみですが、緑茶はRICOに行けば一杯200円でいつでも飲めます」

 

自慢の産品

──メロンの販売もしているんですね。

 「袋井は最高級のブランドメロン『クラウンメロン』の産地でもあります。1株につき1つの実だけを実らせ、100日かけて全栄養や甘みを集中させて作ります。本来、個人向けの卸しはしておらず、友人を介して特別に販売させてもらっています」

──それぞれお客さんの反応は?

 「静岡では普段から緑茶を口にする機会が多いのですが、和歌山は麦茶やほうじ茶をよく飲むイメージです。いろんな人に意見を聞くと、緑茶は苦いと思っている方が多いようでした。でも袋井の緑茶を飲んでもらうと好評で、RICOにお茶だけを飲みに来るリピーターも。カフェの店長さんからは『店で出したい』との言葉もいただきました。メロンは、お客さんが『これはもっといろんな人に食べてもらうべき』と他のお客さんが試食できるよう追加で1玉購入してくれたことがあり、さらに地元の産品に自信が持てました」

──将来は?

 「大学で観光やPRについてめいっぱい吸収し、和歌山の人たちが『静岡と言えば袋井市』と思うくらい定着させたい。その後、故郷で仕事をし、他県の人たちが来たくなるような観光資源をつくるのが目標です」

(ニュース和歌山/2021年8月21日更新)