怖さ:1
里の妖怪
出没地域:高野町

 高野町に住むAさんは子どものころ、「傘お化け」を見たことがあるという。ある日の夕方、ポツポツと雨が降り出したので、近くのバス停まで祖母とふたりで傘を持って、祖父を迎えに行った。山の麓にある人気の少ないバス停で待っていると、ガードレールのある舗装された道を100㍍ほど向こうから、何やらこっちへピョンピョンはねながらやってくる。そして、それが近くまで来て、Aさんは息をのんだ。なんと、かつて本で見た傘お化けそのものだったのだ。傘お化けはこちらを見ることもなく通り過ぎて行った。不思議と全く怖くはなかった。なぜなら、その後ろを小さな傘お化けが追いかける姿がかわいかったからだ。

 

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(ニュース和歌山/2022年6月4日更新)