絶滅した恐竜やナウマンゾウなど、地面の下に眠る太古のロマンに思いをはせつつ、今回は海南市のまさきさんから届いた「有田川町でなぜ化石がよく見つかるの?」を調査します。

 化石は1万年以上前の生物が死がいとなり、砂や泥の中に残ったもの、もしくは形や情報が読み取れる痕跡のこと。同町では2006年、全長約6㍍と推定される海の王者モササウルス(写真)が発見されたほか、様々な生き物の化石が見つかっています。でも、県内の他地域ではあまり聞かないような…?

 



かつて生物が多い海だった

 「有田川町でなぜ化石がよく見つかるの?」。県立自然博物館の小原正顕学芸課長に聞くと、「生き物がたくさんいる環境でできた地層だからです」と教えてくれました。

 化石が出る地層は約1億4千万年~7千万年前の白亜紀にできたもの。当時、この近海は浅く、ここより南は深くなっていました。深い海は化石になる生物自体が少ないのに対し、浅い海には多様な生物が生息。これらの死がいが海底に埋もれ、プレートの動きで大陸側へ押し付けられて地層ができます。一方、すぐ北の海南市や和歌山市の岩盤は圧力を受けて変質した変成岩で、化石があっても壊れていてほぼ見つからないそうです。

 「恐竜2種、アンモナイト50種類以上、さらに二枚貝やウニ、カニ、植物と、有田地方は化石の宝庫。大正時代にはすでに研究者が調査していました。まだまだ可能性を秘めています」と小原さん。もしかしたら今後、新しい恐竜の化石が見つかるかもしれませんね。

(ニュース和歌山/2022年10月1日更新)