怖さ:3
里の妖怪
出没地域:紀中のどこか

 場所は紀中としておこう。昔、村の外れに大きな屋敷があった。綺麗な土塀がその建物を囲んでいる。村人たちは長く続く土塀に沿って町へ出た。ある日の夕方、町から帰って来た村の男2人がこの屋敷の脇を歩いていると、土塀に1枚のお札が貼ってあるのを見つけた。幾度となく通りなれた道なのに、これまで気づかなかったとばかりに男の1人がお札に手をかけた。はがすと、そこには大きな穴が開いていた。単なる穴隠しであることを知った男が、調子に乗って中を覗いたところ、そこでは大きな顔がこちらを見てニタニタ笑っていたという。この塀は現在も残っているらしい。

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(ニュース和歌山/2023年1月21日更新)