大学1年で全日本相撲選手権を制し、アマチュア横綱に輝いた花田秀虎さん。ところが、将来の進路を大相撲ではなく、本場のアメリカンフットボールNFL(ナショナルフットボールリーグ)へ大転換。ドラフトでの指名を目指し、コロラド州立大学編入のため7月末に渡米した。「NFLに日本人はまだ誰も行っていません。相撲で身に付けた強さを武器に、スーパーボウルでQBサック(※)を決めたい」と力強く話します。

相撲で全国制覇

コロラド州立大のユニフォーム姿(本人提供)

──相撲で全国制覇を何度も成し遂げました。

 「西和中では準優勝でしたが、県和歌山商1年で春の選抜大会優勝、世界選手権は高2、高3と連覇。日体大1年でアマチュア横綱になり、3年でワールドゲームズ無差別級金メダルでした」

──なぜアメフトへ?

 「アマチュア相撲の最高峰を極めたことで、モチベーションを保つのが難しかった面はあります。元々NFLへの夢はあり、アメリカの4大プロスポーツでアメフトだけ日本人がいないので、『自分が最初に』との思いも。昨年3月に(社会人アメフトの)Xリーグ合同トライアウトに参加し、走力や敏しょう性、当たりの強さを見てもらいました。その後、相撲を軸にしながらアメフトには週1~2回取り組む〝二刀流〟でしたが、昨年8月からアメフト一本に絞っています」

──今年2月にはカナディアンフットボールのトライアウトに招待されました。

 「日本では主に富士通フロンティアーズで練習し、外国人選手にも当たり負けしないので、『自分はフィジカル的に抜けている』と感じていました。カナダでも1対1で当たる練習を20回以上やり、一度も負けていません。その時の動画がSNSで拡散され、アメリカの大学から勧誘されたのを機に、現地で何校かのコーチと面談しました。自分を育ててくれる環境があり、試合に出られるかを考え、コロラド州立大を選びました」

QBサックを

──ポジションは?

 「ディフェンシブタックル(DT)という守備の最前列中央で突破を防ぐ役割です。今後変わる可能性はありますが、とにかくアメリカの大学生を相手にどれだけできるかが、勝負です」

2020年、日体大1年でアマ横綱に(本人提供)

──相撲との相違は?

 「ぶつかる時は、相撲で培った押しの強さを生かせますし、アメフトにない〝前さばき〟技術は使えます。一方、周りを見る必要があるので、視野が広がりました」

──今後は?

 「バックグラウンドである相撲の強さを見せ、活躍する姿を描けており、日本人初のNFL選手になれると考えています。目標は、LAラムズのDTで、周りがスローに見えるほどスピードがあるアーロン・ドナルド選手。夢は(NFL優勝決定戦の)スーパーボウルでQBサックを決めることです」

※QBサック=パスを投げようとするクォーターバックを倒し、攻撃側を後退させるプレー

(ニュース和歌山/2023年8月5日更新)