厳選した新鮮な果物や卵を使う洋菓子店「KII」が1月13日、紀の川市粉河にオープンしました。白を基調に木のぬくもりが感じられる店内には、ショートケーキやタルト、プリン、焼き菓子が並びます。神戸、フランス、東京で修業を重ねた後、故郷で店を構えた谷本久実さん(35)は、「和歌山産にこだわったお菓子で、地元食材を発信していきたい」と意気込んでいます。

〝紀伊〟で仏の味

──なぜパティシエに?

 「子どものころからお菓子作りが好きで、製菓専門学校を経て、19歳から神戸の洋菓子店リッチフィールドで修業しました。次第に『伝統のフランス菓子を本場で食べ、学びたい』と思うようになり、28歳で退職。フランス語を勉強し、29歳で渡仏、東京のパティスリー・パリセヴェイユが現地に出しているヴェルサイユ店で1年間働きました。気候や風土の違いから、乳製品やフルーツの特徴が日本とは異なります。東京の店と同じケーキでも、その土地に合った材料を選び、味を考えることなど、多くの知識を得ました」

──その後は?

 「六本木のレストラン、ル・スプートニクで、シェフパティシエを3年間務めました。それまで市販のものを使うことが多かったのですが、果物でピューレを作り、皮を砂糖漬けにするなど、〝食材の扱い方〟〝無駄にしない利用法〟を学びました。和歌山産を使うこともあり、『県内で多くとれるフルーツを余すこと無く生かさなければもったいない』と、店を持ちたいと考え始めました」

──地元に戻って開店しました。

 「和歌山にいれば、県内でとれたものを実際に見て食べて選ぶことができます。それらで作った菓子を、まずは地域の人に知ってもらいたい。『和歌山の食材を使った和歌山のお菓子屋さん』なので、店名は『紀伊』からとりました」

和歌山県産を広めたい

──すべて和歌山産?

 「そうできればいいですが、こだわり過ぎると作るものが限られます。いちごやミント、卵は紀の川市の農家や養鶏場から直接買い付け、ハチミツは海南市、レモンは湯浅町のものを仕入れています。菓子によって、小麦粉はフランス、アーモンドパウダーはスペインと使い分けも。チョコレートはペルーの希少なアマゾンカカオを使っています」

──オススメは?

 「チーズケーキが特に人気です。焼き色をしっかりつけるバスク風で、中がトロトロなめらかになるよう工夫しています。また、焼きたてのおいしさを伝えたくて、朝焼きフィナンシェを始めると大好評。外側がサクサクで、焦がしバターの香りがより楽しめます」

──今後は?

 「イートインスペースを予定しています。更に、豊富な食材を県外の人に広く知ってもらうため、オンライン販売も検討中。まだまだ作りたい物はたくさんあり、今は甘夏や、みかんに似た『たまみ』などのかんきつを使って試作をしています。少しずつ理想を形にしていきたいです」

【KII】 
紀の川市粉河1107-5
営業 11:00~17:00
定休日 ㊊、㊋、㊌
(4月以降 ㊐、㊊、㊋)
問い合わせはインスタグラム「kii.kokawa」からメッセージ

(ニュース和歌山/2024年3月23日更新)