16052809_minami

 和歌山城の桜の下で開かれる宴会、雨の中で花のように咲くカサ、車のボンネットに広がる青空…。和歌山市の南真司さん(58)は、身近な場所を俯瞰(ふかん)するユニークな写真を撮る。「わざわざ遠くに行かずとも、光と影のアート、アスファルトを鈍(にび)色に変える雨と、自分の住む周りに面白い風景はある」と街を見つめる。

 中学時代にカメラで蒸気機関車を撮影してから40年以上、銀塩写真にこだわり、撮影を続けてきた。女性の絵が描かれた看板と警備員、今にも飛び出してきそうな躍動感あるヒツジなど、独特の目線で切り取り、写真雑誌やフォトコンテストで入賞を繰り返す。

 写真から離れた時期もあったが、犬の散歩をするうち、行き交う電車が気になり、再びカメラを手に。JR和歌山駅近くの自宅周辺を撮影し始め、自宅マンションから見下ろした風景にレンズを向けた。
16052809_fukan

 撮影場所はベランダや階段の踊り場、歩道橋、時にはお城の石垣も。夜のビッグ愛の駐車場で整然と灯る明かり、夕陽に伸びる人影、JR和歌山駅前を行き交う人々と、市街地で撮影した写真を「地方都市鳥瞰図」と名付け、昨年3月には大阪の「ニコンサロンbis」で初個展を開催。「目からウロコ」「どうやって撮ったのか」と驚く声が多く、9月に40点をまとめて出版した。

 日々の生活の中で、面白い風景や、高い場所を探す。「どういった作品を撮るか模索中ですが、自然の中ではなく、街の中で感じる季節を見つけていきたい」と意欲を燃やしている。

 写真集の一部はHP「日本写真企画」で閲覧可。

写真上=「街中の四季を見つけたい」と南さん 同下=写真集の表紙を飾った1枚

(ニュース和歌山2016年5月28日号掲載)