5月、地元和歌山で研さんに励む2組が相次いで世界に認められた。和歌山市楠見中の鎌田千香子さん(47)は砂糖で作る芸術シュガーアート発祥国のイギリスで4年に一度開かれる国際展覧会に出品し、ウエディングケーキ部門で1位に。和歌山児童合唱団はヨーロッパ六大合唱コンクールのひとつ、メイ国際合唱コンクールで特別賞「ブルガリア作品賞」を日本の合唱団では初めて受賞した。

鎌田千香子さん 砂糖の工芸発祥国で1位 結婚した娘への思い込め

16060489_kamata 英国シュガークラフト組合が主催する国際展覧会。今回は5月21、22日にあった。鎌田さんは、4月に結婚した長女を思いながら完成させた力作を出品。「シュガーアートを始めて今年で10年。娘のために精一杯作り、集大成のような作品ができたので、それだけですがすがしい気分でした。賞は頑張ったご褒美だと思います」と優しい笑顔を見せる。

 展覧会には地元イギリスのほか、ドイツや中国、韓国などから200人以上の参加があった。鎌田さんは初出品した4年前の前回、シュガーペーストケーキ部門で1位に。さらに全25部門の1位の中から最も優れた作品に贈られる最高賞「ベスト・イン・ショウ」にも選ばれている。

 今回初めて設けられたウエディングケーキ部門には約20人が挑んだ。鎌田さんの作品、最上段を飾るのは、娘夫婦をモデルにした和装の人形で、「新婦の人形は自分でも娘によく似ていると思います」と胸を張る自信作。中段には扇とそこから飛び出した鶴を、下部にはダリアを大きく配置し、側面にも鶴やダリアを描いた。花びら一枚一枚を手作りし、それを丁寧に組み合わせて仕上げたダリアは「控えめでかわいい雰囲気の娘のイメージに重なる」と選んだ。
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 和と洋の要素を絶妙に組み合わせた作品は、審査員から「色の合わせ方がうまい」「影の付け方が絶妙」と最高の評価を得た。

 制作に取りかかったのは4月末。そこから約3週間、毎日15時間を費やし、完成したのはイギリスへ発つ5月18日当日だった。長女が生まれた時から今までのことを思い出しながら仕上げた。人形のすぐそばにある花々は、娘が成人の日につけたかんざしをイメージしたものだ。

 作品を後ろから見ると、新婦の背中に新郎が手をそっと添えている。「〝2人ずっと仲良く〟とのメッセージを込めたんです」。娘の幸せを願う母の愛が、審査員に届いたのかもしれない。

和歌山児童合唱団 ブルガリア・メイコンクール 日本勢初の特別賞

 小中高生でつくる和歌山児童合唱団が出場したのはブルガリアでのメイ国際合唱コンクール。ブルガリア作品賞を受賞し、指揮の沼丸晴彦さんは「出場するだけでもハードルが高い。演奏後は拍手が鳴り止みませんでした。子どもたちの頑張りが認められた」と喜ぶ。

 1958年発足の同団は現在、小1~高3の120人が所属。2000年にオーストリアで行われた合唱オリンピックで金メダル、03年にはスペインのトローサ国際合唱コンクール児童合唱の部で2位に入っている。

 今回のコンクールは、ドイツやインドネシアなど国際的に活躍する11ヵ国の13団体が出場。高校生以下の合唱団は和歌山児童合唱団のみだった。ルネサンス・バロックとロマン派の曲、『根来の子守唄』はじめ5曲を披露。グランプリなど4つある特別賞のうち、課題曲のブルガリア民謡『メクメッチョ・セブダ・ゴレマ』が評価され、ブルガリア作品賞を獲得した。また、部門賞として同声部門でも3位に入った。

16060489_jidou 『メクメッチョ~』は全てブルガリア語の曲。地声を織り交ぜ、民俗音楽ならではの大衆性を表現した。向陽高校3年でリーダーの植松美侑(みう)さんは「ブルガリア語なので、何度練習しても完成した気がせず不安だった。中学生が引っ張ってくれ、全員で協力できたのがよかった」。近畿大学附属和歌山中学3年の深谷美怜(みとき)さんは「コンクールでは言葉は分からなくても、拍手をしたり、感動したり、世界中の人と歌で気持ちが通じていた。改めて合唱のすごさを実感しました」と話していた。

写真=ブルガリア民謡が高く評価された和歌山児童合唱団

(ニュース和歌山2016年6月4日号掲載)