160723_yomawari 夜の街中をパトロールし、子どもたちに声をかける夜回り。和歌山市では青少年の健全育成に取り組むBBS会員らが2010年から定期的に続けている。夏休みを前に8日、メンバーで少林寺拳法の道場を開く田村彰浩さんが生徒を連れて参加した。田村さんは「初めての夜回りは緊張したと思いますが、地域の大人が子どもたちに向き合うことは非行や犯罪の防止につながる。その必要性を感じ、続けて参加してほしい」と願っている。

 「未成年ちゃう? たばこ吸ってええの?」。やわらかな口調で少年に声をかける田村さん。気まずそうに目をそらす少年に携帯灰皿を差し出し、「もう少し大人になってからな」と笑顔を見せる。田村さんはニュース和歌山で夜回りを知って以降、6年間ほぼ休みなく参加する。何度注意しても聞かない若者もいるが、「まずいことを聞かれると目が泳ぐのですぐ分かる。理由を深く聞かず、『気に掛けているよ』とのメッセージが伝われば良いんです」と優しいまなざしを向ける。

 罪を犯した少年らの立ち直りを支援するBBS会は、学校や家庭で居場所をなくした子どもたちに寄り添おうと夜回りを始めた。毎月第2・4金曜午後9時から、ぶらくり丁、新内、JR和歌山駅周辺を歩き、未成年と見受けられる少年たちに声をかける。

 県内の20歳未満の少年犯罪は年々減り、2005年の1243人から15年は475人に。ただし、14歳未満に限れば05年の174人から15年は129人と減少幅は小さい。また、補導状況は毎年1万件前後と横ばいで、中でも深夜徘徊(はいかい)は14年の7352人から15年は8317人と増加した。県警本部少年課によると「特に夏場は開放的な気持ちになり、深夜徘徊や喫煙で補導される未成年が増える」。

 夏場を前に活動を強化しようと8日、道場生7人が初参加。田村さんがたばこを吸う未成年に声をかける様子をそばで見守った。松田拓也さんは「落ちているゴミが多いと人も落ち着きがなくなると聞き、普段から意識付けが大事と分かりました」、前田史雄さんは「やはり街中は若者が遅くまで出歩いていました。声をかけるのに勇気がいりますが、次はチャレンジしたい」と意欲をみせていた。

 活動を引っ張るBBS会の高垣晴夫さんは「同じルートを6年歩くと、街や人の変化が見えてきます。今回のように少しずつ仲間の輪が広がってゆけば」と望んでいる。

 参加希望者は和歌山保護観察所(073・436・2501)。

(ニュース和歌山7月23日号掲載)