事業者や専門家が議論

 建て替え工事が進む南海和歌山市駅ビルと駅周辺の今後を語るシンポジウムが5月23日、和歌山市民会館で開かれ、関係者や市民約250人が参加した(写真)。同市と南海電鉄主催。尾花正啓市長は「市駅は交通結節点であり市の玄関。駅周辺のまちづくりが街の未来につながる」と強調した。

 2019年秋に新市民図書館が入る公益施設棟、20年にホテル棟と商業棟が完成する市駅ビル。今回、新市民図書館の指定管理者カルチュア・コンビニエンス・クラブの高橋聡さん、市駅前広場のデザインを監修する川添善行東京大学准教授らを招き、駅と周辺のまちづくりの議論を深めようと企画した。

 初めに、「魅力ある『街』の価値創造」と題し、商い創造研究所の松本大地さんが講演した。アメリカ・ポートランド市を例に挙げ、行政が住民主体のまちづくりを支える仕組みを紹介。「明確なビジョンと行動指針を行政、民間、住民が共有し、官民一体でコンセプトやデザインの方向性を合わせた開発を」と提言した。

 続く討論で、高橋さんは「様々な学びが集まる場にし、人づくり、まちづくりのプラットホームを目指す。図書館屋上に野外キッチンを開き、食を発信できれば」と構想を語った。川添准教授は市駅前広場のコンセプトを「イメージは紀州の入り口」とし、「様々な個性が解放でき、それを周囲が受け止められる広場にしたい」と説明した。松本さんからは「地域資源は〝見える化〟が必要。和歌山は豊かなのに少し謙虚すぎる」と課題の指摘があった。

(ニュース和歌山/2018年6月2日更新)