中尾順一さん 親の介護から考案

 母親の介護経験をもとに、和歌山市の中尾順一さん(81)が食事介助の悩みを解決する車いす用テーブルを発明した。「介護される人にとって、食事は1日の大きなイベントの一つ。お互いの苦労が少なくなるよう位置や大きさを工夫しました。様々なメーカーの車いすに対応します」と話す。

 4年前、当時99歳だった母の介護を始めた。大変だったのは食事介助。普通のテーブルでは向かい合った時に距離が遠くて食べさせづらく、横に座ると母親の表情が見えない上、横を向き続けるために腰を痛めた。「既製品の車いす用テーブルのカタログを取り寄せ試しましたが、どれもひじ掛けに乗せるため高く、胴回りが圧迫され、認知症の母が嫌がりました」と振り返る。

 そこで母親の正面に座り、食事の進み具合を確認しながら楽に介助できるよう、車いすに手作りの簡易テーブルを取り付けた。中尾さん宅を訪問看護していた佐藤未香さんは「机の高さがちょうどよく、本人が食事内容を見た上で安心して食べられる。食事に関心を持つことは食欲につながります」と太鼓判を押す。

 昨年6月、大阪での介護勉強会で発表したところ、参加者から作り方の質問が相次いだ。どの車いすにも装着できるよう、車いすのひじ掛けとこれを支えるフレームパイプの下に板を固定し、板の外側に折りたたみ式のアームを付けた。食事のときだけアームを伸ばし、その上にテーブルとなる板をはめ込んだ。

 1月8日に特許を出願。中尾さんは「母は2018年に102歳で亡くなった。親を介護できたことは幸せ。介護士さん中心に囲むよう車いすを配置すれば、1人で複数の食事介助ができる。このテーブルが施設でも役立てば」と願う。

(ニュース和歌山/2020年1月18日更新)