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 和歌山市湊本町の市立博物館は、昭和の生活道具を集めた冬季展「歴史を語る道具たち」で、お年寄りが実際に触れ、記憶を振り返ることで介護予防に効果的とされる「回想法プログラム」を初めて取り入れた。

 回想法はアメリカの精神科医が提唱する治療法で、記憶を振り返り脳を活性化させ、認知症の予防や進行を遅らせる効果が期待されている。北名古屋市の昭和日常博物館を皮切りに全国でも広まりつつある。

 いすを用意した専用の部屋に、昭和30〜40年代に和歌山で使われていた生活道具約40点を並べた。白黒テレビ、洗濯機、音の出るタンスのほか、城北小学校で使われていた木製ベンチや炊飯器も(写真)。壁には丸正百貨店の食料品売り場や、市電が走り、人でにぎわうぶらくり丁などの写真を飾った。

 1月22日には和歌山市のグループホーム「あさひの家」を利用する80〜90代の9人が訪問。カタカナの文章が並ぶ尋常小学校の国語の教科書を手に取ったり、蓄音機で音楽を聴いたりしながら「これ家にもあったわ」「懐かしくて涙が出る。小学校の先生の名前まで思い出した」と思い出を語り合った。

 近藤壮学芸員は「ガラスケースの中の展示物を見るより、間近に見られるので来館者の反応も上々。実際の使い方や昔の様子など、こちらが色々と教えてもらっています」と話していた。

 デイサービスや老人ホームなどの高齢者福祉施設が対象で、3月1日(日)まで受け付ける。申し込みは同館(073・423・0003)。個人も相談可。

(ニュース和歌山2015年1月31日号掲載)