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 政府が「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げ、女性の社会進出を推進する中、就職、結婚、出産、育児とライフイベントが多い女性の就労を支える取り組みが広まりつつある。和歌山市は子育てや家事と仕事の両立にハードルを感じ、再就職をためらう母親の不安解消に力を入れた「ママカレッジ」を11月にスタート。一方、既婚未婚や子どもの有無を問わず集まった〝働く女性〟たちは、市民グループ「女子会ジュエルズ」を結成し、いきいきと働くための意識向上に奮闘している。

 和歌山県内の仕事を持つ女性の割合は2012年の調査で44・8%で、全国平均を下回り、全国43位。女性の労働人口は出産、育児にさしかかる25〜29歳の層をピークに、30〜34歳の層にかけて下降し、再び増加するM字カーブを描くのが特徴だ。

 和歌山市は今年度、育児中の母親を対象にした再就職支援を新規事業に盛り込んだ。9月、子育て広場など5ヵ所に、ハローワークの求人情報が閲覧できる端末を導入し、子どもがいながら気軽に情報にふれられる場を整えた。11月から来年2月まで、「ママカレッジ」と銘打ったセミナーを4回実施する。

 第1回は、夫婦で具体的なプランを描いてもらおうと、家族での参加に限定。実際の共働き家族が登場し、毎日のタイムスケジュールや家事分担について語る。カレッジを運営するNPO法人ホッピングの上田茜代表は「『他のママはどうやって両立しているのか知りたい』という声はとても多い。モデルを示し、働き方のヒントを見つけてほしい」。

 子育て支援課の沖和哉さんは「漠然とした就職への不安を取り払い、働く母親が増えて経済面での不安を解消することで、第2子、3子を望む世帯の増加につなげたい」と少子化対策を視野に入れる。

 一方、様々な職種の働く女性が交流し、仕事や生き方の向上につなげる女性グループも活発に動き始めた。

 2013年に立ち上がったジュエルズは、同市の会社員で3人の子どもを育てる石本ゆりさんが代表。「ママサークルや起業家だけの集まりはあるが、働く女性が出会い、学び、磨き合える場がほしいと願う人が多かった」と語る。

 インターネットや口コミで広まり、現在は20~40代、120人に増えた。結婚後の働き方やキャリアアップを望むかなど、女性ゆえの悩みは尽きない。起業を目指す人や経営者の「起業ガール」、会社勤めのOLが中心の「ワーキングガール」と部会に分かれ、勉強会や交流会を開いている。

 今、力を入れるのが、人生経験豊富な先輩女性を「ロールモデル」として発信し、意欲を持って仕事に励み、人生を充実させたいと考える女性を増やすことだ。

 第1弾として今月から、女性起業家らを招いた公開セミナー「女性のためのブラッシュアップカレッジ」を始めた。仕事への取り組み方や行動を学ぶことで、刺激を受けた女性が社会で活躍する流れを生み出す。

 石本さんは「地方の活性化には女性の活躍が必要。仕事でも生き方でも『この程度でいい』とあきらめず、前進する一歩にしてほしい」と描く。

 和歌山労働局の小田江理子雇用均等室長は「県内の育児休業給付金の受給率は全国46位と低く、仕事を辞めてしまう女性が多い。大企業が少ない和歌山で、働く女性たちが自主的に集まり、思いを共有するのは良い取り組み。様々な生き方を考える判断材料になるのでは」とみている。

写真=多彩な職業の女性が交流するジュエルズ

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 第1回ママカレッジ=11月22日(日)午前10時、同市三沢町の中央コミュニティセンター。無料。詳細はホッピングHP▽女性のためのブラッシュアップカレッジ=11月7日(土)午後1時半、同市美園町のT—LABO。3500円。詳細は女子会ジュエルズHP。

(ニュース和歌山2015年10月10日号掲載)