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 フランスで〝王様の菓子〟と呼ばれるガレット・デ・ロワ。昨年、東京で開かれたガレット・デ・ロワコンテストで日本一に輝いた白浜町出身の濱田舟志(しゅうじ)さん(写真)が10月21日、和歌山市でケーキ店やパン店の職人24人に作り方を伝授した。

 ガレット・デ・ロワは平たい円形の菓子。フランスでは1月6日の公現祭(※)を中心に、1月中の人が集まる日に食べられている。中にフェーブと呼ばれる陶器の人形を入れて焼くのが特徴で、切り分けて食べた際、その陶器が入っていた人がその日一日、王様になれる遊び心のある菓子だ。

 フランスで6年間腕を磨いた経験を持つ濱田さんは現在、東京のラ・テール洋菓子店に勤めている。昨年11月のコンテストでは、プロ対象の一般部門で1位を獲得し、来年1月にはパリで開かれる世界大会に日本代表として出場する。

 今回の講習会は、製菓、製パンの原材料や関連機器などを販売するキタタニ(和歌山市楠本)が世界大会に挑む和歌山出身の濱田さんにエールを贈ると共に、日本一の技術を地元の職人が学ぶ機会にと企画した。まず、濱田さんがコンテスト1位になったガレット・デ・ロワ(写真下)の作り方を披露。この後、参加者が実際に1つずつ作った。最後に完成した菓子を並べ、中央部分がへこまないこつや側面のパイが割れない方法など、濱田さんが丁寧にアドバイスを送った。

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 指導に耳を傾けていた同市中之島のハシグチ洋菓子店、橋口龍彦さんは「うちの店ではガレット・デ・ロワはまだですが、小さくしたプティビエを出しています。これまでしっかりと習ったことがなく、きょうは細かいテクニックが勉強になった。来年は販売しようと思います」。

 濱田さんは「東京ではだんだん普及してきましたが、地方ではまだあまり知られていないお菓子。きょうの講習会をきっかけに地元和歌山のお店が広めてくれればうれしいですね」。来年の世界大会に向けては、「気負わず、いつも作っているものを出します。その上で良い結果を出せれば」と話していた。

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 (※)公現祭…キリストの誕生を祝ってやってきた3人の王様にちなんだ祭り。

(ニュース和歌山2015年10月31日号掲載)