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 昆虫のソース、料理にいかが? 湯浅町発祥のしょう油づくりの技法を生かした新たな発酵調味料「いなごソース」を紀の川市粉河の田中寛人さん(写真)が開発し、販売を始めた。田中さんは「大豆の代わりに高タンパク低脂質のイナゴを使い、3年かけて開発しました。虫を感じない仕上がりです」とにっこり。気になるお味は──?

 大阪府立大学大学院を修了後、製薬会社の営業マンになった田中さん。全国を回る中で田舎の魅力に引かれ、高知県に移住後、2013年にUターンした。「田舎の良さや、そこにしか残っていない地域資源、伝統技術を伝えよう」と、地域活性化団体「いなか伝承社」を立ち上げ、森の中での保育体験会などを開いている。

 同時に、湯浅町に伝わるしょう油づくりの技術を使い、新たな調味料を作ろうと考案。タンパク源として昆虫に注目し、イナゴを使ったソースづくりに乗り出した。醸造会社にアドバイスをもらい、和歌山市で試食会を開いて感想を求め、試作を繰り返してきた。

 今回は60㌔、約12万匹のイナゴを購入し、昨年末に仕込んだ一部を商品化した。ゆでたイナゴに水、こうじ、塩をたるの中で混ぜ合わせて発酵させ、10ヵ月間かけて熟成させた。手作業でゆっくりろ過して殻を取り除き最後に火を通している。

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 見た目は茶色く透き通ったさらさらの液体で、臭みもない。しょう油こうじを使った「イナゴソース1号」、米こうじの「2号」の2種類あり、「1号はしょう油のように、2号は塩ダレのように使える。辛みが強く、そのまま味わうものではないので、合うレシピを開発して教えてほしい」と期待する。

 現在はインターネットで注文を受け付け、田中さんが加工場で1本1本手作業で製造している。年末には、新たな仕込みに入る。

 2本セットで5400円。「いなか伝承社」HPで販売。

(ニュース和歌山2015年11月28日号掲載)