022 高齢者や障害者のデイサービスを行う和歌山市布施屋の「はっぴー&はーとⅢ」は11月21日、利用者や地域住民向けの救命救急講習会を開いた。道路幅が狭く、救急車の進入が難しい地域で、救急隊員到着までに助かる命を増やそうと初めて企画した。

 趣味のサークル活動や、障害者が軽作業する拠点として今春開設された同施設。県道岩出海南線の北に並走する道幅2〜3㍍の旧街道沿いにあり、以前、救急車を呼んだ時は100㍍近く離れた場所に停車させ、ストレッチャーで駆けつけてきた。このタイムロスを住民や利用者で埋めようと講習会を行った。

 市消防局職員が講師を務め、利用者や地域のお年寄り25人が心臓マッサージ、人工呼吸を体験。AEDの使い方も習い、手順を確かめながら学んだ(写真)。参加した藤原優さん(77)は「昔に習った方法と少し変わっていて勉強になった。高齢化が進む地域で、こういう技能を身につけておくのはお互いの安心につながります」と笑顔を見せていた。

 市消防局によると、救急車は幅189・5㌢で、狭い道路については各署で管内の状況を把握している。基本的に救急車で近づき、ストレッチャーで迎えに行く。急を要する場合は軽自動車も同時に出動して患者を搬送する。同局警防課は「知識を持っておくといざという時に生きる。定期的に開いてほしい」と呼びかけている。

 中出光男施設長(67)は「利用者、住民問わず、地域で暮らす仲間として助け合いの関係を根付かせておきたい」と意気込んでいる。

(ニュース和歌山2016年12月3日号)