081 和歌山市六十谷の法然寺に、日本芸術院会員で日本画家の清水達三さんが描いた天井画「雲龍」が奉納された(写真)。清水さん初となる天井画で、11月13日の落慶法要でお披露目した。

 法然寺は、西山浄土宗の寺院。1378年に同市福島に開かれた善導寺の別院の一つとして始まり、豊臣秀吉の紀州攻めで六十谷に移り、1756年、紀の川の洪水の影響で現在の場所へ。阿弥陀三尊像を本尊とし、1月の初地蔵、春先の初午など、地域に親しまれる。2年前、本堂の再建に取りかかり、その際、寺の総代が清水さんへの依頼を提案。快諾を得て奉納に至った。

 天井画は、縦3㍍81㌢、横3㍍53㌢。本堂の中央に位置し、見上げると、円の中に玉を手にして雲間を舞う龍の姿が。墨で醸し出す重厚な色調と、にらみをきかせる龍の表情が強い存在感を示す。四隅には、釈迦とゆかり深い沙羅双樹(さらそうじゅ)が美しく飾り、真新しいひのき造りの本堂の空気を引き締める。

 禅宗寺院では天井画が描かれることが多いが、浄土宗の寺院では珍しく、前住職の松尾孝龍さんは「龍は水の神様で、仏の教え、法の雨をふらせると言われる。そういう場にしたい」。これまでなかった寺の院号も作品に合わせ新たに「雲龍院」とつけた。住職の松尾学龍さんは「寺も絵もしっかり守っていかないといけません」。

 清水さんは「画室がいっぱいになるほど大作だったので苦労した。龍のきば、目、ウロコとしっかり調べ、自分にしか描けない作品に仕上げました」と話している。

 法然寺(073・461・0163)。

(ニュース和歌山2016年12月3日号)