和歌山市紀三井寺の県立医科大学附属病院内にある性暴力救援センター「わかやまmine(マイン)」。県内の強姦(かん)、強制わいせつの認知件数は年々減少しているにもかかわらず、寄せられる相談は開設された2013年度の97件から昨年度は539件と大きく増加した。国会で強姦罪が強制性交等罪に改められ、厳罰化が進むが、被害者の医療や法律面での支援が必要なのは変わらず、センターの重要性は依然高い。

 県が開設した同センターは、性暴力の相談に対応する。児童相談所や学校との連絡体制の強化を進めており、昨年度の未成年の相談は372件で、全体の約7割にのぼっている。

 相談内容にはSNSなどインターネットを介したトラブルが目立つ。相談員は「女子学生が友達ほしさに連絡を取っていたものが、実際に会うと成人男性が身元を偽っていたケースもあった」と話す。

 総務省の16年度版犯罪白書によると、強姦で検挙された約5割が顔見知り。同センターへの相談者にも報復や家庭の崩壊を恐れ、被害者が相談をためらっていたケースもあった。性的虐待には、子どもの成長につれてスキンシップが性的なタッチ、レイプへ発展するなど、被害者自身が被害を自覚するころには深刻化していることが少なくなく、センターは学校に向けて、性暴力そのものについて周知を進めたい考えだ。

 心理カウンセリング、法的相談など関係機関へつなぐほか、警察や医療機関へ同行し、必要な場合は継続して対応にあたる。相談員の一人は「緊急医療対応や初期のカウンセリングには公費による補助が出る。1人で悩まないで」と呼びかける。

 電話は午前9時〜午後10時(受付は9時半)、緊急医療相談は10時まで受け付ける。同センター(073・444・0099)。

(ニュース和歌山/2017年7月8日更新)