目のレンズとなる水晶体が白く濁る白内障。日赤和歌山医療センターが手術中に目の状態を診断できるORA術中波面収差解析装置(ORAシステム)を県内で初めて導入し、成果を上げている。
白内障は早ければ40代で発症し、80歳を超えるとほぼ100%かかるとされる。薬で治らず、水晶体を取り除いて人工レンズを入れる手術が必要となる。日本では年間140万件の手術が行われ、同センターは3000件近く実施する。
従来の手術は、事前に視力や目の状態を測定し、それに基づいてレンズの度数や位置を決めた。ただし、水晶体を取り除くと、目の中が変形する。新システムでは、水晶体を取った後に再度状態を測定することで、事前予測との誤差が分かり、挿入レンズの精度を上げられる。
このシステムを活用する医療機関のデータは日々更新され、より状況に応じた判断が可能になる。国内の導入は20ヵ所ほどだが、海外の手術例のデータも蓄積されており、さらに適切な医療につなげられる。
同センターは昨年末の導入以降、このシステムを用いた手術を180件行い、8割近い142件で当初予定のレンズから変更。これにより、視力が1・0以上になったのは42%で従来より13%上昇、0・7以上は10%上がり61%だった。
眼科の大谷篤史部長は「車社会の和歌山では、普通免許に必要な視力0・7を求める人が多く、要望に高い精度でこたえられている。これからはこのようなシステムを活用し、遠視や近視、乱視の矯正も期待できるのでは」とみている。
写真=目の中の状態を解析する
(ニュース和歌山/2017年7月22日更新)