北口隆さん アドバンス指導普及を

 体の動きが楽になるよう、個人の特徴に応じた動きを体で学習してもらうシンプルラーニング。和歌山市梶取のサービス付き高齢者向け住宅、福徳の里の北口隆施設長は1月、上級のアドバンスコース指導者に認定され、以来半年以上、介護や看護に携わる人たちを指導している。北口さんは「アドバンスだと、人の動きをより細部まで見ることができ、体のそれぞれの部位の動きを複合的につなげられます。そうしていくと、お年寄りが楽に生活を送れることにつながります」と話している。

 日常生活の動きに焦点を当てるシンプルラーニングは、「歩く、立つ、寝返りする、起き上がる」など基本動作を楽にし、それを日常生活につなげるのがねらい。関節可動域を広げるストレッチや、筋肉を鍛えるリハビリテーションとは異なり、「動きの学習」との位置づけだ。

 ベーシックコースでは、体に触れて骨などの微妙な動きを感じ取り、本人が自覚していないクセを見つけ、無理のない動きを提案する。

 2018年の指導者認定制度開始時にベーシック指導者となった北口さんは、アドバンス指導者にも最初に認定された全国8人のうちの1人。アドバンスでは、体のパーツを連動させ、さらに広い範囲の動きにつなげていく。例えば、足の裏の動きが、ふくらはぎ、ひざ、骨盤へと伝わる様子から、複合的な生活動作につなげる。

 指導を受けた理学療法士の楠見和大さんは「力まずに楽に動ければ、姿勢が良くなり、リハビリ効果が上がったケースが多いです」、介護士の清水睦さんは「自然な動きを取り入れると、上がらなかった足が力まずに上がることも」と実感している。

 北口さんは「立てない人をいきなり立たせようとするのでなく、小さい動きから始め、徐々に生活動作につなげられるよう学んでもらいます」と説明。「介護をより楽にし、要介護状態の予防に向け、楽に動けるようになる人を増やしたい」と意気込んでいる。

写真=体の一部を優しく揺らして動きをより広い範囲に広げる

(ニュース和歌山/2023年9月30日更新)