市民団体が寄付呼びかけ

 和歌山城公園動物園の園長を務めたメスのツキノワグマ、ベニー(写真)。昨年7月に推定31歳で死亡したが、「生きていた証を残そう」と和歌山市の市民団体わかやまフレンZOOガイド(川島寛昭代表)が、ベニーの剥(はく)製と骨格標本を作るため、寄附を募っている。川島代表は「県内の博物館に寄贈し、気軽に見てもらえるようにしたい」と思いを巡らせている。

 ベニーは、同園3代目となるクマで、1994年に京都市動物園から譲り受けた。野生の習性を守るため冬眠期間を設けて飼育。大きな体とゆったりした動きが人気で、2015年には選挙で園長に就任し、「お城の動物園の顔」としてPRに貢献してきた。死亡時には園に献花台が置かれ、1カ月で花束100本、手紙80通が手向けられたほどだ。

 同園所蔵の剥製は、数十年前に飼育していたとみられるアシカ科のほ乳類オタリアと、一昨年没したビーバーの2体のみ。同園は「ビーバーは〝ひざし〟の名前で人気がありました。公開はまだですが、『触れてもらう機会をつくりたい』と考えています。オタリアが剥製になった経緯は不明ながら、公開したことはあります」と説明する。

 ベニーを残すことについて、フレンZOOガイドの後藤千晴事務局長は「間近で見てもらうことで、人が自然環境や野生動物の生態、動物福祉について考えるきっかけになる」と期待し、川島代表は「完成すれば、人間と動物のつながりを発信するイベントを開きたい」と意気込んでいる。

 寄附は、動物園の募金箱や、クラウドファンディングのキャンプファイヤーで3月15日まで受け付ける。目標は120万円で、寄付額により台座銘板への氏名記載やベニーのイラスト入りバッグ、ハガキなどの返礼品がある。事務局(090・6729・8978)。

(ニュース和歌山/2025年2月22日更新)