出勤前にエサやり1時間

 海南市小野田の山あいで草を食むヤギたち。和歌山市毛見の寺下卓さんが管理する牧場は、近隣の人たちが散歩の合間に立ち寄る憩いの場だ。

 飼い始めたのは6年前。知り合いから「所有する山に雑草が生い茂り、困っている」と相談を受けたのが始まり。「草食動物のヤギを使えばエコに除草できる。人間もラク」と提案し、岩出市の農家から雄と雌を譲り受けた。

   寺下さんとリーダーの雄ヤギ

 小屋を作り、柵で囲った敷地へ放すと、ヤギは自由に移動しながら草を食べ、半年後には山は見違えるほどすっきりした。また、別の知人からも要望があり、ヤギを預けたところ「手間なくきれいになった」と喜ばれ、以降、何度も〝ラブコール〟を受けた。「役に立つ動物だな」と感心した。

 牧場では現在、生まれたばかりの子ヤギを含め6頭を飼育している。頭をなでながら、「一見愛想がないように見えますが、顔を合わすとすり寄ってきて、とてもかわいいんです」と相好を崩す。出勤前などに1時間ほどエサやりをするのが日課という。

    静かにゆっくりと草を食べる

 ヤギの一日の食事量は生草で約9㌔㌘。寺下さんは、おう盛な食欲を活かして、環境にやさしい「ヤギ除草」を広めたいと考えている。「人が作業しにくい斜面が得意で、刈り草の処理が不要、機械ではないので燃料もいりません。草刈りがつらいご高齢の方などに喜んでもらえるはず」と描く。さらに将来は、ヤギを使ったまちおこしを構想しており、「『どこへ行ってもヤギがいて、草を食べている』と話題になるような、環境と癒しを両立させた地域づくりに貢献したい」と夢をふくらませている。

 見学など問い合わせは寺下さん(メールtaku@pc-challenge.com)。

(ニュース和歌山/2025年5月24日更新)