6月22日 和歌浦で上映会

 熊野古道世界遺産登録20周年を記念した短編映画「熊野伝説Ⅲ夕凪」の上映会が6月22日㊐午後2時から、和歌山市和歌浦南のアート・キューブで開かれる。現在の新宮市三輪崎が舞台で、中田勝康監督は「地元にだけ伝わる民話をベースにした作品。映画を通し、生い茂る木々の緑が美しい雄大な自然や、鯨漁など昔の風習、文化を知ってほしい」と目を輝かせる。

  おちづ(右)と与一(映画のワンシーン)

 江戸時代、農家の娘であるおちづは、恋人で漁師の与一が海から戻らないのを心配していた。生きる意味を失いかけていた時、山の中で出会った老婆から、熊野の山奥にはひとつだけ願いを叶えてくれる神様がいると聞き──。地域住民でさえ知る人は少ない「山の神と海の神」にまつわる男女の恋物語に脚色を加えた。

 これまで中田監督は熊野周辺の民話をテーマに制作。タイトルの「夕凪」とは夕方、海風から陸風に変わる時に起こる無風の状態を言い、昔は不思議なことが起こる時間とされていた。昨年、新宮市の鈴島・孔島、那智勝浦町の白菊の浜ほか、三重県の七里御浜、花の窟(いわや)などで撮影。主役のおちづは和歌山市出身の女優、川原祥子さんが演じている。

 今年3月の愛媛県を皮切りに、和歌山県南部で上映会を実施。「映画で見て、改めて景色の美しさに驚いた。地元を見直しました」と、郷土の魅力を再確認した観客もいた。中田監督は「東京や名古屋からも上映依頼が届いています。この作品で熊野古道の知名度を上げ、聖地巡りに来てほしい」と期待する。

上映会

篠笛演奏や歌のほか、主演の川原さんによる舞台あいさつ。上映後は「熊野って?」をテーマにパネルディスカッションを行う。無料。熊野映画を創る会(0735・52・3071)。

(ニュース和歌山/2025年6月7日更新)