体験者の講演に110人

 体験者自身の言葉で和歌山大空襲を伝える催しが6月21日、和歌山市手平のビッグ愛で開かれた。当事者からの「戦後80年を機に、多くの人に知ってほしい」との要望を受け、「和歌山市空襲の体験を記録する会」が企画。80歳から92歳までの4人の話に、110人が聞き入った。

   和歌山大空襲の記憶を語る体験者

 1945(昭和20)年7月9日深夜、108機の米軍飛行機B29が約800㌧の焼夷弾を投下。同市中心部は火の海となり、1100人以上が犠牲となった。なかでも、多数の市民が避難していた旧県庁跡の空き地(現汀公園)では爆撃による猛烈な大火災旋風が起こり、一瞬にして748人が命を落とした。

 7歳だった岩本冨紗子さん(87)は、炎の中を防空壕を目指して走ったものの人がいっぱいで入れず、「川に浸かって杭につかまり、恐怖にふるえながら朝まで過ごした」と記憶をたどった。生後約60日の田端康子さん(80)は、火の粉が飛んできて頭部にやけどを負った。今も残る痕のことは誰にも語ってこなかったが、「これは80年生きてきた証。息子や孫にも伝えていきたい」と語った。

和歌山市博の展示。ⒶはM69焼夷弾(ナパーム弾)、Ⓑは防空頭巾

 参加者の55歳の女性は「体験者の生の声が胸に響き、涙があふれました。若い人に受け継いでいきたい」と話していた。

和歌山市博で関連展示と上映

 同市湊本町の市立博物館では、和歌山大空襲に関する催しを左記の日程で行う。

 ▽ホール展示=7月8日㊋〜8月17日㊐。体験者約160人の証言をまとめたパネルのほか、焼夷弾や防空頭巾など関連資料を展示。無料▽映画上映会「和歌山大空襲」「空襲体験絵巻」=7月12日㊏午前10時、午後2時。大学生以上100円、高校生以下無料。㊊休み(祝日の場合開館、翌平日休み)。同館(073・423・0003)。

(ニュース和歌山/2025年6月28日更新)