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 水槽に展示しているのは…、えっ、泥!? 県立自然博物館(海南市船尾)の淡水魚コーナー奥に6月、田んぼの泥と木片2つだけを入れた水槽が登場した。題して、〝水草よ育て!どろんこ水槽〟。光を当ててその変化を見る実験で、2ヵ月あまりが経過した今は多くの水草が茂り、目をこらすと貝の姿も見られるようになった。

 発案したのは昆虫担当の松野茂富学芸員。昨年、「和歌山の水生昆虫大集合」と題した特別展をした際、屋外に置いていたタガメ用の水槽にタガメがどこにいるのか分からないくらい水草が茂った。「まるでため池の一部を切り取ったようで、その雰囲気が良かったんです」。これにヒントを得た。

 6月8日、田辺市の田んぼから譲り受けた泥を水槽に敷き、蛍光灯の光を当て始めた。16日には泥の中にあった種子から水草が発芽。その数は順調に増し、水面にはウキクサの仲間も増えた。同じく泥の中にいたサカマキガイやモノアラガイもおり、この水槽で生んだ卵から赤ちゃんがかえった。水槽2ヵ月後

 「一見何もない田の泥からこれだけのものが出てきてにぎやかになってきた。〝育つ展示〟として興味深く見られる来館者もいらっしゃいます」と松野学芸員。「水辺環境の破壊が言われる昨今ですが、条件さえ整えば自然はよみがえってくると感じています。和歌山の自然もまだまだ捨てたものではないと感じてもらえるはず」

 育ってきた水草の名前は今後、見極める。入館料470円、高校生以下と65歳以上は無料。午前9時半~午後5時。月曜休み。同館(073・483・1777)。

※6月8日は何もなかった水槽(写真上)だが、8月10日には水草でにぎやかに(下)

(ニュース和歌山2016年8月20日号掲載)