華やかなファッションが紙面を飾る女性誌で、最近は必ずといっていいほど「子育てとキャリアの両立」「ワーママ(ワーキングマザー)流の時短テク!」などの文字が踊ります。30代半ばの女性としては気になる内容で、見つけてはついつい読みふけってしまいます。

 4月、女性活躍推進法が施行されました。従業員301人以上の企業に、労働時間や勤務年数、管理職に占める女性の割合など状況の把握と改善すべき事情の分析などが義務づけられましたが、県内で該当するのは約60社のみ。それ以下の事業所は努力義務とされています。

 輝くワーママが推奨される一方で、「妊娠を会社に伝えたら雇用契約を変えられた」「育児休業はうちの会社にはないと言われた」など不利益を受ける「マタニティハラスメント=マタハラ」という言葉も急速に広がっています。

 和歌山労働局は4月、雇用環境・均等室を発足させ、マタハラやセクハラ、パワハラなどの相談対応窓口を一本化しました。「昨年からマタハラの相談は増えている。ただし、まだまだ圧倒的に多いのはセクハラの相談」と聞きました。いずれにせよ、職場で女性であるがゆえの苦痛を受けることが黙認されてはなりません。

 また、少し前には「保育園落ちた日本死ね!!」と題したブログが話題になりました。この春、育児休暇から職場復帰を目指していたのに、子どもの預け先が見つからず、退職を余儀なくされたママの叫びです。言葉の乱暴さが目を引き、本質的な話題からそらすコメンテーターもいました。ただ、きっと丁寧な文章であれば、よくあることと世間の目にはとまらなかったのではないでしょうか。子育てだけでなく、同様の問題は介護についても起こり得ます。

 和歌山は働く女性の割合が全国41位、育児休業の給付金を受け取った人は全国46位です。この順位の低さが、同じスタイルで仕事を続けることがいかに難しいかを物語っています。女性が社会に出て働くハードルが結婚や出産などライフイベントを迎えるたびに高くなってしまうのでは、「どうせいつまでも続けられる仕事ではない」と若い世代の意欲を奪いかねません。

 目には見えないこのハードル。女性活躍推進法が名ばかりにならず、だれもが軽やかに跳び越えられる日が来ることを願います。 (宮端)

(ニュース和歌山2016年4月23日号掲載)