性的被害をSNSで告発する「#metoo」運動に注目している。日本では、ジャーナリストの伊藤詩織さん、ブロガーのはあちゅうさんが声を上げたことで広まった▼中でも写真家、荒木経惟さんの被写体を務めた女性の告白はショックを受けた。称賛を浴びる作品の裏には、モノのようにヌードを撮られ、自殺まで考えた苦悩があった▼この訴えに呼応したモデルの水原希子さんは、過去の仕事で男性数十人に囲まれながら裸を撮影された体験を投稿。たちまち「この広告」と特定され、企業側は「調査の結果、分からなかった」と否定も肯定もしないコメントで逃げた▼「あなたは間違っている」と伝えるのは相当な勇気がいる。「それくらいのことで」「自分にも非がある」と非難を恐れ、口を閉ざしたくなる▼福田淳一元財務事務次官の発言を明るみにしたのは記者だったが、#metooは、これまで声を持たなかった人たちの拡声器となる。もはや「陰でこっそり」とはいかない時代になってきている。 (島本)

(ニュース和歌山/2018年4月28日更新)