5月から毎月第2、4水曜号で「ニュース和歌山子ども版」と題したページを設けています。文字は読みやすいよう、他のページより一回り大きくし、全部の漢字にふりがなをつけています。まだ始めて3回ですが、読者にはなかなか好評です。

 単なる文字の読みやすさだけでなく、子どもに伝わりやすい表現も心掛けています。…が、これがなかなか難しい。「〝難度の高い技〟は〝難しい技〟の方が分かりやすい」「〝5両編成〟の〝編成〟を優しい言葉で言えないか」──。これまで何のためらいもなく使ってきた言葉1つひとつに注意するようになりました。と言っても子どもたちの表情を浮かべながらの作業は楽しく、全く苦になりません。

 さて、子ども版ページがターゲットとする小中学生よりやや上の年代、18歳と19歳の若者たちに選挙権が与えられることが決まりました。「十分な判断力があるか」「年齢を引き下げても若者が投票に行くのか」「政治参加を促す教育が必要だ」。いろんな声が聞こえてきますが、個人的には大賛成です。

 期待するのは、若者の政治に対する関心の高まりより、政治家が使う言葉の変化です。例えばよく耳にする「遺憾に思います」。あれは「残念です」でいい。耳なじみのない言葉や玉虫色でどうにでも逃げられる表現を使ってかわす。そんな政治から脱却してもらいたいと思います。

 〝分かりやすい〟で思い浮かぶのはジャーナリストの池上彰さんです。かつてNHK「週刊こどもニュース」に11年間出演した池上さんは著書『こどもにも分かるニュースを伝えたい』(新潮社)にこう書いています。「『こどもニュース』でいつも気をつけたのは、『こんなにむずかしいニュースは、子どもにはわかりっこないよ』とは決して言わないようにしたことだ。そうではなく、『これを子どもにわかってもらうためには、どんな工夫をすればいいんだろう』と考えることが大事なのだ」

 「週刊こどもニュース」は終了時、多くの高齢者から「やめないで」との声が寄せられたそうです。子どもに優しい=全ての年代に優しいということです。池上さんのいう工夫、それが政治家の皆さんに備われば、政治はぐっと身近になる。加えて若い世代のまっすぐな目を見て、政策を語れるか。曇りなき真剣さがあれば、政治離れに歯止めがかかり、投票率も上がるのではないでしょうか。(西山)

(ニュース和歌山2015年6月27日号掲載)