和歌山初の義務教育学校スタート前に、統合する伏虎中と、本町、城北、雄湊の3小学校は、引っ越し、整理の真っ最中。戦後すぐに発足した各校は歴史と伝統を抱えるだけに、大変さは想像に難くない▼各校の伝統のうち印象に残るのは、雄湊小の集団登校だ。近くに住む1〜6年生が毎朝、一緒に学校へ行くことで、顔の見える関係ができる。そんな関係が子どもから保護者、地域へと広がり、地域のつながりが強まるきっかけとなっただけに、自由登校になるのは惜しまれる▼一方、城北小は背筋をピンと伸ばし、心を落ちつかせる立腰教育を続け、本町小は授業間のチャイムをなくし、子どもの自主性を育ててきた。伏虎中生は、朝のおはよう運動や放課後の掃除の際、学校前を通る人への声かけを忘れなかった▼各校がつむいできた伝統は、合併後も子どもたちの心に生き続ける。これまで学校で培ってきたことを背景に、新しい取り組みが始まる。それが定着し、新たな伝統としてつながってほしい。(小倉)

 

(ニュース和歌山より。2017年3月25日更新)