16012307_misoka ある年の大晦日、えと村はとても盛り上がっていました。村のみんなは、とら君の提案したある約束が楽しみで、わくわくしていたのです。「大晦日は一晩中起きていよう。それで、広場に集まって、みんなで遊んでみよう」

 村のみんなは大賛成でした。みんなは、いつも寝るのが早く、夜の村の様子を見たことがなかったので、いつか見てみたいな、と思っていたのです。えと村に住むさる君も、今夜の約束が楽しみで仕方ありませんでした。「今日の夜、みんなでバナナを食べられるように、たくさんバナナを取っておこう」

 さる君は、大好物のバナナがなっている木に登りはじめました。バナナはとても高いところになっていましたが、木登りが得意なさる君は、どんどんと登っていき、手をぐっと伸ばして取っていきました。

 昼がすぎ、夕方になり、そして、ついに、待ちに待った夜がやってきました。村のみんなは、はじめて見る夜の景色に大興奮です。さる君も、うきうきしながら、たくさんのバナナを抱えて広場に行きました。「みんな、バナナを持ってきたよ」「やったー。さる君、ありがとう。いただきます」

 村のみんなはわいわいと話しながらバナナを食べていました。しばらくすると、ねこさんがあるものを見つけました。「あれ、とってもきれいだね」。真っ暗な夜空に、きらきらと輝くものがたくさん浮かんでいます。

 「あれは、星だよ」。もの知りなうま君が言いました。「きらきらしていてきれい。私、星を取りたいわ」「僕も欲しいな」。みんなは口々に言いはじめました。「僕が取ってくるよ」。さる君はそう言って、近くにあった高い木に登りはじめました。今朝、とても高いところになっていたバナナを取れたのです。取れないものはないはずだ、と思っていました。

 しかし、木の一番上までついてから、何度も手を伸ばしましたが、どうしても星を取ることができませんでした。さる君は、がっかりしながら、じっと星たちを見つめていました。すると、あることに気がついたのです。「あれは、バナナの形に見える」。いくつかの星をつなげてみると、今朝取ったバナナの形が浮かび上がってくるのです。

 「他の形も見つけられそうだ」。さる君は、この発見をみんなに伝えるため、木から下りました。「みんな、ごめんね。星は取れなかった。でも、おもしろいことを見つけたんだ。星をいくつかつなげると、色んな形ができるんだ」。みんなは一斉に星空を見上げはじめました。すると、ねこさんが言いました。「本当だ。ちょうちょうの形があるよ」

 しばらくすると、村のみんなは次々に色々な形を見つけはじめました。見つける形は一匹一匹違いました。それぞれ、好きなものが真っ先に浮かんでくるようです。花が大好きなうさぎさんは、チューリップの形を見つけました。「今年の春に見たチューリップ、きれいだったなあ」「いいなあ、私も見たかったなあ」。ねこさんが言いました。「来年の春は、みんなで見に行きましょう」。うさぎさんがそう言うと、村のみんなは笑顔でうなずきました。

 食べることが大好きなとら君は、くりの形を見つけました。「今年の秋に食べたくりはおいしかったなあ」「いいなあ、僕も食べたかったなあ」。さる君が言いました。「来年の秋はみんなで食べよう」。とら君がそう言うと、みんなは笑顔でうなずきました。村のみんなは、来年の約束をたくさんしながら、わいわいと話し続けたのでした。

 新年の朝を迎えました。あたたかな日射しがみんなを明るく照らしています。「あけましておめでとう」。昨日の夜、みんなはたくさん話して、より仲良くなりました。そして、仲良くなったみんなで、たくさんの約束をしました。春にはみんなでチューリップを見て、秋にはみんなでおいしいくりを食べて…。どれもこれも楽しそうなものばかりです。

 村のみんなは昨日の夜に約束したことが現実になるのが楽しみでわくわくしているようでした。今年も、いい一年になりそうです。

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漫画家のいわみせいじ審査員…文章を読んでいるだけなのに、夜空の星が見えてきました。ずーっとずーっと昔の人間たちも、このお話の動物たちのように夜空を見上げては楽しく語らっていたのでしょう。「今を生きる我々も、大昔の人たちも、そして動物たちも、みんな同じ夜空の下に生きているんだナ…」。そんなコトまで考えさせてくれる素晴らしい作品です。

(ニュース和歌山2016年1月23日号掲載)