あるところに、もん太という名前の、あわてんぼうのおっちょこちょいのさるがいました。ある日、もん太は、カレーライスを作ろうと思いました。けれど、ざいりょうがたりないので買いに行くことにしました。「え~と、にんじんと、じゃがいもと、お肉とカレールーだね。さて、おかいものに行こうっと」

 それからもん太は家を出ました。ところが…と中まで来ると、ビュービュー。あわてたもん太は、かごをはなしてしまいました。すると…ピラピラピラ~、メモがとんでいってしまいました。「まってぇ~」。もん太はおいかけました。どこまでもおいかけました。いくらでもおいかけました。そしてとうとう広い原っぱまで来ていました。そしたら…「あっ」。なんということでしょう。やぎがメモを食べていたのです。「…どうしよう…とりあえず、やおやに行こう」

 それからもん太はやおやに行きました。ぞうのお店でした。「いらっしゃあい。ぼうやは何を買いに来たんだい?」。ぞうのおじさんにたずねられたので、あわてたもん太は「あのね、おじちゃん。ぼくね、にん、にん、あれ、何だっけ!?」「ほかは何もないのかね」「あとは、じゃ、じゃ、じゃ~」「ホォホォホォ、ぼうやはにんにくとじゃこを買いに来たんだね。はい、にんにくだよ。じゃこはあそこのおねえさんに聞いてね」「うん、ありがとう、やおやのおじちゃん」。トコトコトコ、「おねえさん、じゃこちょうだい」「はいどうぞ」「ありがとう。おねえさん」(あれれ。何かちがうんじゃない? もん太)

 「さて、つぎはスーパーに行こう」。それからもん太はスーパーに行きました。「え~とどこかな? あの~おに、おに、と、カ、カ、カを知らない?」。もん太は近くのゴリラのおじさんに聞きました。「ぼくの買いに来たものは、おにぎりとかきかね?」「うん、そうだよ。おじさん、それくださいな」「はいどうぞ。またいらっしゃい」。(おいおい、もん太そうだった!?)

 「これでぜんぶかな? さてと家に帰ろう」。ところが…トットコトットコもん太は歩いて行きました。すると…キラキラキラー、お金がおちています。「わぁぁぁ」。もん太はひろおうとしました。道草はダメなのもわすれて、ろじまで来てしまいました。「やったぁ! とったぞ~。あれ、ここどこだろ? あれ、あれ、知らない場しょだ…」

 もん太はとりあえず、光のあるほうへすすむことにしました。すると…バサッバサッコーウコウコウ。ふと見ると、にわとりがついらくしてくるしがっていました。ふと見ると、たまごがおちています。「わあぁ、おいしそう」と、もん太は、ひろいに行きました。

 それからまた、ぽつぽつ歩いていると、何かのたねがおちていました。つけていくと、何と、バナナのたねです!! もん太の大こうぶつです。そのままひろいながらすすんで行きました。すると、大きな木がありました。のぼってあたりを見わたすと、もう家はすぐそこ! もん太はうれしくなって木から木へジャーンプ!! ヒョイ、ヒョイ、ヒョイのイヒョッ! そして…ジャンプ! スタッ。みごとにもん太はにわにちゃくち。それからバナナのたねをにわにうえました。

 それから家に入り、りょうりをかいし! 「え、何を作ったか」だって? スーパーでもらったおにぎりに、やおやのにんにくとじゃこを入れて、にわとりのたまごをめ玉やきにしてから、上にかぶせて出き上がり! カレーライスのことはわすれて、すっかりほかのことが頭にうかんでいたみたい。デザートはかき。「おいし~い。また作ろうかな、ルンルンルン☆」

 もん太はすっかりねむってしまいました。朝おきると、まどの外を見てバナナの〝め〟が1つでているのに気づくかな?

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おはなしボランティアきいちご代表、北裏祐子審査員…のびのびとした文章で元気の良さが際立っていました。あわてんぼうでおっちょこちょいのもん太を、擬音語を使い上手に表現していてテンポもいいですね。なにより作者自身がお話の世界を楽しんでいることがステキ。

(ニュース和歌山2016年2月6日号掲載)