BASEBALIFE(ベースボーライフ) 代表 古宮 克人さん

 智辯和歌山時代、主将としてチームを引っ張り、2006年夏の甲子園でベスト4の成績を残した古宮克人さん(32)。昨夏開設した野球スクール「ベースボーライフ」で小中学生を指導する。「近年、野球が選ばれなくなっている。スクールでは技術向上はもちろん、野球以外に付加価値を生み出し、子どもたちの人生の可能性を広げたい」と力を込める。

時短で付加価値生み出す

 和歌山市内、夕暮れのグラウンド。小中学生を週1回10数人ずつバッティング主体に指導する。そんなグループが4つあり、教え子は50人を超える。

 「和歌山の子は全体に打力が低い。打力向上が、和歌山の野球界への貢献になる」と考えたからだ。

試合形式の練習で子どもたちに気持ちよくボールを打たせる。バットの出方や体重移動など細かく観察し、アドバイスを送る。

 ただし、闇雲にバットを振らせるのではない。バットにうまく力を伝える方法、体重移動や身体の使い方など基本を教え、「まず、身体が理解する」まで見守る。それができた時、「なぜなのか」を説明。子どもたちが納得することで、自信になり、前向きになれる。

 また、試合形式も取り入れる。「試合で失敗し、課題を見つける。失敗をしからず、解決策を共に考え、前進してゆく」ためだ。 

 特に、重視するのは時間。高校野球での活躍を1つのゴールに据え、それに向け、いますべきことは何か。また、1年後に気づくことを、いま気づけるようアドバイスし、いかに時短できるかを心がける。

 「短い時間で成果を出せば余裕が生まれ、その時間を勉強や他の取り組みに当てると、子どもたちに可能性が見えてくる。それを広げる手助けをすれば、人生の可能性を最大にできる」との確信が、自らをサポートに駆り立てる。

 論理的な指導に力を入れるのは、智辯和歌山でのコーチ経験が大きい。立命館大を経て、母校に戻ったのが11年。当初は昔ながらの指導だった。

 だが、13年に転機が訪れる。夏の県大会3回戦敗退。力のあるチームだったが、「これは指導者である自分の責任。選手に申し訳ない」と心から思った。

 以後、従来の指導法を全否定しコーチングやトレーニング法を学ぶ。17年に野球部長となり裁量範囲が広がるに従い、結果もついてきた。18年のセンバツで準優勝に導き、「こうすれば勝てるというロジックをつかみました」。

 結果を残したことで、高校野球に区切りをつけた。改めて野球界を見渡した時、気付いたのが少年野球の現状だった。

 野球をする子が急激に減っていた。「もう一度、野球が選ばれるには、どうすれば良いのか。自分は野球を通して何がしたいのか。人生とのつながりは」。自問を繰り返し、野球を通して成長を促すベースボールスクールに行き着いた。

 開設から間もなく1年。子どもたちが成功体験を積み重ね、少しずつ進歩する様子に手応えを感じる。高校生や大学生への出張指導、各種セミナーにも取り組み、目標達成、自己実現を促す機会は、さらに広がる。成長の手助けは、始まったばかりだ。

 

野球スクール BASEBALIFE

毎週月曜・木曜 18:30〜、20:00〜(各1時間)
問 090-8531-3813(受付 平日9:00〜17:00)
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(ニュース和歌山/2021年7月3日更新)