古座川支流の小川流域にある滝。別名、六段の滝、中崎の滝。滝は全部で6段あり、その総称が中津谷の滝という。

 地誌書『紀伊続風土記』に「中崎村 三前郷直見村の乾(北西)二十町にあり、山の尾埼村を囲めり村名此に起るといふ」とあり、すなわち、山の尾根がぐるりと村を取り囲んでいるというのだ。

 この秘境に、次から次へと階段状に落ちる滝。熊野の奥深さに、畏れすら感じるほどだ。滝の奥に観音様が祀られ、古から村人の信仰を集めていた。古老によると、雨乞いの儀式が行われ、一部の女性はお参りできなかったそうだ。この滝の魅力は、滝音がそれぞれ不思議な旋律で響き渡るところである。滝全体を眺望できないが、一番下の3段が特に美しい。

(ニュース和歌山/2018年5月19日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。