グラッと揺れた時、頼りになるのは──。大地震が起きた際、沿岸部の逃げ遅れた人たちが津波から避難できるよう、和歌山市と海南市は小学校などの入口に「震度感知式鍵ボックス」を設置している。和歌山市総合防災課は「より安全な高台に逃げるのが基本ですが、どうしても間に合わない場合は活用してもらいたい。一人でも多くの命が助かれば」と話している。

 震度5弱以上の揺れをボックス内の震度計が記録すると自動的に鍵が開き、校門や3階以上の高さの部屋へ行くまでに必要な鍵、施設の見取り図、ハンマーを取り出せる。休日や夜間といった施設管理者が不在の時間帯に大地震が起きた場合、近隣の逃げ遅れた住民が避難できる。

 東日本大震災以降、全国の公共施設に広がっており、県内では広川町、新宮市などの沿岸市町が取り入れている。海南市は2015年度に津波浸水区域内にある公共の避難ビル15ヵ所に導入。和歌山市は16年度から設置し始め、今春、新たに16ヵ所増やし、25ヵ所になった。浸水区域内にある小中高校やコミュニティセンター、体育館など避難所41ヵ所への設置を目指す。

 今春付いた和歌山市砂山南の砂山小、府中恵理校長は「日ごろから子どもの通学の安全や教育活動で助けてもらっている地域の人に、いざという時に施設を活用してもらえます」と歓迎している。

写真=砂山小学校にも正門横に取り付けられた

(ニュース和歌山/2018年7月28日更新)