『紀伊国名所図会』に、「鷲川瀑布(わしのがはのたき)田尻村より南、山中に入る事半里許にあり。高さ二十丈。(中略)あら鷲の雨雲はぶく風早み岩きる瀧の音とよむなり。諸平」とある。

 挿絵は、滝を見る2人の旅人と観音堂、煙管をくわえた男が休憩している。この和歌を詠んだ加納諸平は、紀州藩の命で『紀伊続風土記』『紀伊国名所図会』の編纂にあたった国学者である。

 日高の名峰、矢筈岳。諸平は鷲ノ川沿いを登り、「瀧の音、矢筈が嶽の麓に轟いている」と驚き、「渓をとざせる楓の林に、白雲の降り立つごとし」と表した。和歌を思いながら落差15㍍の滝を見ると、何条もの水が幾重にも折れ曲がり、高い峰山にまとわりついて降りる雲に見える。

(ニュース和歌山/2018年10月6日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。