読者の皆さんから寄せられた、和歌山に関する疑問・質問に答える「和歌山謎解き代行社」。今回は和歌山市のあきんこさんから、「バスで用事に出かけますが、バス停『県庁前』は和歌山県庁の前にないですね。どうしてでしょうか?」です。

 バス停「県庁前」はお城の西側を走る国道沿い、和歌山城追廻門の近くにあります。確かに、「県庁前」でバスを降りても県庁は見えません。西へ50㍍ほど歩けば県庁が見えてきますが、案内板は小さく、初めて来た人は戸惑ってしまうかも…。運営する和歌山バスに尋ねました。 

 


 

主要路線上の最寄りの場所

 「バス停『県庁前』はなぜ県庁前にないの?」。バスを運営する和歌山バスに尋ねました。

 県庁前バス停ができた時期は不明。古い資料が残っておらず、停留所名の由来も分からないという。「おそらくバスの営業所がある和歌浦と、南海和歌山市駅やJR和歌山駅を結ぶルートが主要路線。そのルート上で最も県庁に近い場所を『県庁前』としたのでは」との見解です。県庁前へ路線を蛇行させるわけにいかないため、最寄りの地点にバス停を置いたということです。

 ただ、かつて市電が走っていた路線をバスが走っているのを踏まえると、別の可能性が浮かんできます。公共交通に詳しい志場久起さんは「路面電車の停留所『県庁前』が、今のバス停のところにあったからでは」と考え、「バス停『車庫前』も路面電車の名残。市民に親しまれた市電の名残が、バス停の名称や場所に残されているのかも知れないですね」とみます。

 ちなみに、バスの運転士はたまに、県庁の場所を聞かれるそう。地域の歴史を伝えるものとして残したいと思いつつも、紛らわしいのは解消したいですね。

(ニュース和歌山/2019年5月18日更新)