和歌山の中心を流れる和歌川。今回は和歌山市の小畑俊嗣さんから「和歌川の水はどう流れている?」との質問が届きました。

 和歌川は、かつて紀の川の流れが今と違い、南に蛇行して和歌浦湾に河口があったころの名残。そこから推察するに、「きっと北から南に向いて流れている」と思い、河口付近を訪ねてみると水門で閉ざされています(写真)。流れを見ていると、緩やかながら北へ流れているような…。

 深まる謎を解くべく、和歌川を管理する和歌山県海草振興局管理保全課河川管理グループに聞きました。

 


 

時間によって北・南と変わる

 「和歌川の水はどう流れている?」との質問。県海草振興局管理保全課河川管理グループによると、「時間によって北向きに流れたり、南向きに流れたりします」。

 和歌川は高低差がほとんどない平野部を流れ、河口から海の干潮、満潮の影響を受ける「感潮河川」と言われます。潮が満ちると水は上流へとさかのぼり、潮が引けば川の水が河口へと引っ張られます。

 和歌川の場合、潮の影響をどこから受けるのか。和歌川河口にある水門は洪水時以外は基本的に閉じています。川と海が直接つながっているのは、紀の川河口近くにある市堀川河口のみ。満潮時はここから海水が入り、大門川との合流部を経て南へ、干潮時は市堀川の河口に水が引っ張られ和歌川は北へ流れます。

 また、水門にあるポンプで和歌浦湾側から水をくみ上げて上流へ流しています。「汚泥を薄めるためで、くみ上げた水は北向きに流れます」

 和歌川の水は水門から上流部をほぼ行き来しており、川は上流から下流へという私たちの常識を覆す、珍しい川だったんですね。

(ニュース和歌山/2019年8月10日更新)