日本で最も雨の多い大台ヶ原を水源とする紀の川。私たちに大きな恵みを与えてくれるこの川に関する質問が和歌山市の山本敏史さんから届きました。今回は「同じ川なのに、なぜ下流を〝紀の川〟、上流を〝吉野川〟と呼ぶの?」です。

 グーグルマップで和歌山市から東へ順に見ていくと、橋本市を過ぎ、五條市に入ったところから表記が〝吉野川〟に。奈良県では〝吉野川〟となるようです。

 紀の川を管理する和歌山河川国道事務所の荘司周夫副所長に聞きました。


 


 

河川法上は上流も〝紀の川〟だが…

 

 「同じ川なのに、なぜ下流を〝紀の川〟、上流を〝吉野川〟と呼ぶの?」。和歌山河川国道事務所の荘司周夫副所長によると「河川法上は水源から河口まで〝紀の川〟です。ただし、河川は昔から地域の生活環境とかかわってきた由来があり、同じ河川でも地域によって名称や愛称が異なることがあります」とのことでした。

 上流の奈良県南部では、桜で名高い吉野地方を流れることから、〝吉野川〟で親しまれています。一方で、紀の国・和歌山県では〝紀の川〟で定着しています。河川法では、その川の下流で呼ばれている名前が使われることから、法律上は〝紀の川〟なのです。

 同じ川でも上流、下流で名称が異なるケースは全国で見られます。昨年、長野県で氾濫した千曲川は日本で最も長い川、信濃川の上流にあたります。近畿の水がめ、琵琶湖から大阪湾へ流れる淀川は、京都府では宇治川、滋賀県では瀬田川と名前を変えます。

 なお、川の近くにある河川名の看板、奈良県内では、〝吉野川〟と〝紀の川〟が併記されているところもあります。

(ニュース和歌山/2020年1月18日更新)