昔から聞きなじんでいても、言われてみれば不思議な呼び名がありますよね。今回の依頼は和歌山市の道上佳代さんから届いた「かつらぎ町にあるへび島は、なぜこの名前で呼ばれているの?」です。

 調べてみると、へび島の正式名称は「船岡山」。流れる紀の川の真ん中に位置し、標高は60㍍、東西500㍍、南北125㍍の山です。

 なぜ〝へび〟島なのか、かつらぎ町生涯学習課の和田大作学芸員に聞きました。


 

紀の川が増水した際 たくさん漂着した?

 「かつらぎ町にあるへび島は、なぜこの名前で呼ばれているの?」。同町生涯学習課の和田大作学芸員によると「正式な記録は残っていませんが、昔、洪水で紀の川が増水した時に、大量の蛇が流れ着いたからとの説があります」とのこと。

 また、かつらぎ町の民話を集めた『今昔話』には、船岡山の厳島神社にまつられた弁天様に会うため、隣の切腹山にすむ大蛇が訪れたとの伝説が残っています。やはり、へび島と呼ばれるだけあって、へびの話題には事欠かないようですね。

 平安時代には藤原頼通が高野参詣の帰り道に立ち寄り、船遊びを楽しんだ船岡山。1980年代に行われた発掘調査で、縄文、弥生、鎌倉時代の集落跡や土器が発見されました。

 その後、山の南側に長さ80㍍の吊り橋が架けられ、島を一周できる遊歩道が整備されました。紀の川を目の前に、夏の風が心地よい今の時期。山中は草木が生い茂っていますので、歩く際はへびにご注意ください。

(ニュース和歌山/2020年8月22日更新)