《回答者》
消化器外科・一般外科
福外科病院 消化器外科専門医・大腸肛門病専門医・消化器病専門医 福 昭人院長

 痔核は排便時間が長いと悪化し、自然治癒しなくなります。とくに、貧血をきたす出血や脱肛は、外科的治療が必要です。肛門病にはこのほか、肛門の周囲が膿んでくる「痔ろう」があります。長期に放置するとがん化することがあり、注意が必要です。さらに、糖尿病や肝硬変などの基礎疾患があると、重症の感染症にかかりやすくなります。残便感や腹部違和感を伴うときは、大腸がんも心配です。


 大腸がんは近年、食生活の変化によって、日本でも増加しています。①排便後にトイレットペーパーに血が付く。②残便感などの排便障害がある。③下腹部に痛みや違和感がある、などの症状がある場合は、痔と自己判断するのではなく、大腸肛門病専門医に相談し、検査を受けてください。大腸CT検査であれば、高齢者の方も比較的楽に、短時間で受けられます。

 大腸がんは早期発見すれば、手術で治る可能性の高い病気です。くれぐれも手遅れにならないように注意しましょう。

(ニュース和歌山/2020年9月26日更新)