1960年代に和歌浦に住んでいたという紀の川市の吉田肇さん(67)から頂きました。「子どもの時、紀州東照宮(和歌山市和歌浦西)に行くと、いつも絵の彫られた石を探しました。赤ちゃんぐらいの大きさの足型、リンゴ、渦巻きだったと思います。なぜ、そのような絵が彫られたのか、今でも気になります」

 美しい青石で知られる紀州東照宮の参道を、禰宜(ねぎ)の西川秀大さんと歩きました。鳥居から15㍍ほど奥、2番目の燈籠付近に絵を一つ見つけました。

 


 

自然による巧みな造形?

 「紀州東照宮の石畳に絵の彫られた石がある。なぜ?」とのご質問。同神社禰宜の西川秀大さんに案内頂きました。「ありました。リンゴですね」。見ると、はっきりリンゴ(写真上)の形が刻まれています。

 「他の絵も近くにあった」と質問者からうかがい、時間をかけて近く、遠くと探しましたが、残念ながら見つかったのはリンゴだけでした。「足型と渦巻きについて、今、東照宮で知っている者はいませんでした」と西川さん。

 リンゴをよく見ると、石の表面がはがれ、自然にそうなったと分かります。人工物でなく、偶然の産物のようです。「恐らく、いずれも自然現象でできていたのではないでしょうか。他の石は風化したか、石自体を替えたのかもしれません」とのことです。

 ちなみに近年、SNSを通じ、石畳にあるハート型の石(同下)が話題です。「以前、胸の重い病気にかかった滋賀の女性がこの石に触れ参拝したら、病気が治ったとお礼参りに来てくれたんですよ」。東照宮の石畳では時折、このハートを探す女子の姿が見られます。リンゴの近くです。

(ニュース和歌山/2020年11月28日更新)