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 和歌山の食の恵みを伝えたい。和歌山市十三番丁に昨秋オープンした炭焼菜彩干物飯「紀州のしずく」は、代表の奥畑公康さん(38)がその思いを形にした店だ。昼は食堂、夜は居酒屋として地元の魚、肉、野菜を食材に腕をふるう。売りは土鍋で炊いた白御飯で、炊きたての味にリピーターが増えている。「県外、海外に和歌山の食の豊かさを届けるのが夢」と志は高い。(文中敬称略)

背中押した転勤族

——飲食業を始めたきっかけは。

奥畑 食を介し人と接する仕事がしたかったんです。高校卒業後、パスタ店で修行し、24歳でアロチに居酒屋を構えたのが最初。その3年後、和歌山市六番丁にイタリアンのキッチンキャミーを開店しました。

——紀州のしずくを開店しようと思ったのは。

奥畑 キッチンキャミーはオフィス街にあり、サラリーマンの歓送迎会でよく使って頂いています。その際、転勤で出て行く人はスピーチで必ず「和歌山は食べ物が本当においしかった。こんな所は他にない」と絶賛するんです。何度も耳にするうち和歌山に特化した店を持ちたい、県外の人にも地元の人にもここの食の豊かさを伝えたいと思うようになりました。

——店が入る清瀧ビルは歴史がありますね。

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奥畑 約30年間、1階で大衆食堂をしていた店が閉まり、偶然、空いていました。道に面して外から炭で魚を焼く姿が見え、香りが漂う…そんな思い描いていた店のイメージぴったりでした。設計は、テレビ番組『ビフォーアフター』に出演した和歌山市の木村茂伸さん。木をふんだんに使った掘りごたつのある店内は温もりがあり、ゆったりとした時間を過ごしてもらえると思います。

土鍋御飯が名物

——メニューは地元の食材がメーンですね。

奥畑 和歌山の食の恵みがしたたり落ちる…店名はそこから来ています。マグロ、タイといった地元の魚、梅鶏、熊野牛、旬の野菜が中心です。昼は梅鶏の竜田揚げや炭焼きなど王道感のある定食を出します。夜の居酒屋メニューでは熊野牛や紀州あかどりの梅塩炭焼きが人気。熊野牛のミートソースグラタンなど洋風のものもあります。和歌山の地酒も豊富ですよ。

——おすすめは。

奥畑 炊きたての土鍋御飯です。独立したばかりのころ、店に炊飯器がなく、まかないのため土鍋で御飯を炊いていました。ふたを開けると湯気が立つほくほくの御飯を食べるうち、飲食店、家庭でも御飯がおかずの添え物になっていると気づき、そこを変えることができると思いました。昼は、土鍋で延々と御飯を炊き続けています。しらす、金山寺味噌、南高梅と御飯に合うトッピングもそろえています。夜、お酒を飲んだ後、「シメに御飯」という方もいらっしゃいます。皆さんなりの楽しみ方をして頂いています。

——今後の夢は。

奥畑 和歌山にこだわり抜き、紀州のしずくを、他府県、海外にも出店して和歌山のことを知ってもらうのが夢です。それにはまず地元の人に地元の食の素晴らしさを知ってほしいですね。

【紀州のしずく】  和歌山市十三番丁34。昼は月〜金午前11時半〜午後2時。夜は月〜土午後5時半〜深夜0時。073・499・4997。


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(ニュース和歌山2015年3月11日号掲載)