夏真っ盛り、海中は変わらず恋のシーズンです。前回に続き、今回も口内保育をする魚をご紹介しましょう。

 写真の魚はネンブツダイ(念仏鯛)。沿岸の岩礁に生息し、夜行性のため、昼は波の穏やかなところで群れて漂っています。繁殖期になると隠れたり、縄張りを作りやすい障害物の周りで少し群れから離れてオスメスのペアでいたり…と言われますが、なぜか古座の海では卵を持つオス同士の群れを見かけます。

 写真の個体がくわえているのは卵。産みたての卵はオレンジ色をしていて、保育中のオスは時々、口を大きく開け、新鮮な海水を卵に送ります。この時期、古座ではネンブツダイのお父さん達が群れで子育てを行っています。

写真=口内保育中のネンブツダイ(オス)の群れ

塩崎仁美…東大阪市出身。和歌山県内を中心に水中写真を撮影。東日本大震災の被災地でもボランティアダイバーとして活動している。

(ニュース和歌山/2017年7月26日更新、次回は8月23日)