日ごと暑さが増すとともに、海水温も徐々に上がり、海中では恋の季節が始まっています。

 この生き物はタツノオトシゴ…ではなく、その仲間のハナタツです。浅い海の岩礁周辺で動物プランクトンなどを細い口で吸い込むように食べ、暮らしています。藻などに擬態するため細長い角をたくさんもち、流れの弱い所で藻に尾を絡ませてゆらゆらと揺れる姿をよく見かけます。

 写真はオスがメスにアピールする様子で、求愛が成功すると、オスのお腹にある袋状の育児嚢(のう)にメスが輸卵管を差し込み産卵します。オスは卵を育児嚢の中で育て、ふ化させ、やがて同じ形をした稚魚を放出します。この時期、みなべの海では〝イクメン〟達が子育てを始めています。

塩崎仁美…東大阪市出身。和歌山県内を中心に水中写真を撮影。東日本大震災の被災地でもボランティアダイバーとして活動している。

写真=体長5㌢ほどのハナタツのペア(手前がオス)

(ニュース和歌山/2017年6月14日更新)