「生涯を通してスポーツを楽しんでほしい」との思いで、40年にわたりマスターズ陸上の普及に努めています。10月末に紀三井寺陸上競技場で開かれる「国際・全日本マスターズ陸上競技選手権大会」を前に、強調したいのは、「日本のマスターズ陸上は、和歌山が発祥」ということです。

 1976年、39歳だった私は、110㍍や400㍍のハードル走で記録が伸び始めました。気を良くして色々調べると、中高年向けにマスターズ陸上という世界大会がある。しかも出場は5歳刻みで、自分の年代では、私の記録が優勝タイムを上回っていることが分かったのです。

 「金メダルを取れる」と確信し、翌77年にスウェーデンの第2回世界選手権に出ました。会場に着くと、びっくりしました。オリンピック元金メダリストと一般の人が一緒に走っているのですから。

 私は予選で大会新記録を出しながら、決勝は転倒して8位。結果は残念でしたが、「この大会をぜひ日本で」と強く思いました。

 帰国後、14人で和歌山マスターズ連盟を立ち上げ、78年に和歌山市で西日本マスターズ陸上競技大会を開催。80年には、同市で第1回全日本大会開催にこぎ着けました。

 その後、各地持ち回りで続き、10回目の89年は、発祥の地をアピールするため再度、和歌山市に戻りました。初めて海外から選手を募り、「国際・全日本マスターズ大会」として開催し、11ヵ国から1200人以上が参加。マスターズ陸上が定着したと実感しました。

 実は、西日本大会前、マスターズをアピールするため、仲間4人でタスキをつなぎながら、走って日本一周することを企画しました。78年元旦にスタートし、6年で8000㌔を走破。取り組みを見た秋田や長崎など数ヵ所でマスターズ連盟が立ち上がりました。足を痛めてしまいましたが、良い思い出です。

写真=1989年の国際・全日本大会ハードル競技で

(ニュース和歌山/2017年9月13日更新)