80歳男性です。最近食事で飲み込みにくく感じます。食べたり飲んだりする際に気を付けることはありますか。

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《回答者》

◆リハビリテーション科
今村病院リハビリテーション部
言語聴覚士
中山 裕紀子
先生

 食事は、口から栄養を取るだけでなく、味を楽しみ、食事を通じてコミュニケーションをとる等、人が生活していく上でとても大切な意味をもちます。

 「口から食べる」とは、食べ物を認識し、口に運び、噛んで、ゴックンと飲み込む一連の動作のことで、これを専門用語で「摂食・嚥下」といい、これらの動作のどこかに問題が生じ、うまく飲み込めないことを「摂食・嚥下障害」といいます。

 摂食・嚥下障害は、加齢や病気、ストレス等、様々な要因で起こる可能性があります。特に高齢になると、生活全般の活動量が減り、全身の筋力が衰えることで、飲み込む力が低下します。また、歯の本数の減少や噛む力の低下による口の衰えも飲み込みに影響します。

 摂食・嚥下障害を疑う症状としては、▽硬い食べ物が噛みづらくなる▽口の中に食べ物が残る▽むせる▽飲み込んだ後も食べ物がのどに残っている感じがする、等があげられます。「咳や痰が多くなってきた」「食事に時間がかかり疲れてしまう」「そのためあまり食べられなくなり体重が減ってきた」なども含まれます。これらの症状が強くなると、栄養障害や誤嚥性肺炎を引き起こすリスクも高くなるので要注意です。

毎日の体操で飲み込む力 向上

 飲み込む力をチェックする簡単な方法があるので試してみましょう。①楽な姿勢で座ります。②口の中を軽く湿らせます。③30秒間、つばを繰り返し飲み込み、何回飲めるか回数を数えます。30秒間で3回以上ゴックンできなければ、飲み込む力が低下している可能性があります。

 飲み込む力を向上させる体操を2つご紹介します。

 まず1つ目は、噛む力の筋力アップを図る「あー・んー体操」(図1)です。①「あー」と声を出し、できるだけ大きく口を開けます。②しっかりと口を閉じ、舌を上あごに押し付け奥歯を噛みしめて「んー」と声に出します。①②の順で各々5秒間、3回繰り返します。

 2つ目は、ゴックンと飲み込むときに働く筋肉を鍛える「おでこ体操」(図2)です。①背筋を伸ばして座り片手をおでこに当てます。②頭を前に倒しながら、おでこと手が押し合いっこするイメージで力を入れます。このとき、自分のおへそを見るように下を向きます。あごの下の筋肉が硬くなっていれば大丈夫です。10秒間行い3秒間休む、を5回繰り返してください。

 どちらの体操も食前に行うのが有効です。是非実践してみてください。

(ニュース和歌山/2021年7月25日更新)